私のおすすめの本
2018/02/09
私のおすすめ本は『ジョーカー・ゲーム』(柳広司/著 株式会社KADOKAWA出版)です。
「死ぬな、殺すな、とらわれるな」。
この戒律を若き精鋭たちに叩き込み、軍隊組織の信条を真っ向から否定する、スパイ養成学校“D機関”。
結城中佐の発案で陸軍内に秘密裏に設立されたこの機関は、全国から頭脳明晰、身体能力の優れた者たちを奇妙な試験によって選び出す。
そして選ばれた者たちは寝食を共にしながらスパイになるための訓練を受けることになる。
私がこの本を面白いと思った理由は、この本が、私が持っていたスパイのイメージをがらっと変えてくれたからです。
“D機関”では、爆薬や無電の扱い方、自動車や飛行機の操縦法、数ヶ国語に及ぶ外国語の習得等、様々な授業が行われます。
ときに学生たちは冷たい水の中を着衣のまま泳ぎ、その後、夜通し仮眠もとらずに移動した後で、前日に丸暗記させられた複雑な暗号を自然な言語のように使いこなすことを要求されます。
こうした精神と肉体の極限を要求される訓練を易々とこなした彼らは、スパイになった後も数々の任務でその能力を発揮します。
小説内では、そうした彼らのことを「怪物」と呼んでいますが、その「怪物」たちが別人として生き、周囲に溶け込み任務をこなす姿にとてもわくわくさせられます。
スパイを題材とした映画では、派手なアクションを売りにすることが多いですが、「ジョーカー・ゲーム」では、静かに闇に溶け込むような、全く違ったスパイを感じることができます。
究極のスパイ・ミステリー「ジョーカー・ゲーム」。あなたも読んでみませんか?
(新川)