絵本の奥深さを伝えてくれる、松居直さんのことば
1月に松居直さんの講演会に行き、お話を聞く機会がありました。
松居さんは、児童文学作品の出版を手がける福音館書店の元編集長であり、社長でもあった方です。
安野光雅さん、長新太さん、いわさきちひろさんなどを絵本作家として世に送り出し、現在では児童文学研究者として多くの本も出版されています。
有名な出版会社の社長さんということで、経営者っぽい堅い方を想像されると思いますが、松居さんは本当に人間味溢れる素敵な方でした。
現代は日本語が貧しくなると供に、表情も豊かでなくってきているのでは?という問いかけがあり、むかし子育てのなかで行われていた子守唄や語りかけ、静寂がなくなり、テレビやラジオなどの機械音に囲まれたため、生のことばの体験が減ってしまったことも要因であるとおっしゃっていました。
私たちがなにげなく使っていることばは、果たして美しいことばで語られているのか?
子どもたちの心を生き生きと動かすようなことばを発しているのか・・・
わたしたち大人は、次の世代に対し、生き生きとした豊かな日本語を伝えていく責任があるのだと思いました。
また、見えないものを思い描く力の大切さにも触れ、
「空想・事実のない創作物語のほうが物事の真実が伝わりやすい。」
「人はみな、真実を知りたいという欲求をもっており、それを理解する力ももっている。」
「真実が語られた物語を読んでほしい。私は絵本を通して真実を伝えていきたい。」
ということばで講演が終わりました。素晴らしいメッセージです!
「絵本を含めた本・ことば」が人間・子どもの育ちに与える影響は想像以上であり、図書館職員はこの重みを自覚し、真実が語られた本を注意深く選んでいかなければならないと強く思いました。
素敵な本を世に送り出してくれた、松居さんに深く敬意を表したいと思います。
(がんばって、たくさん本を読みます・・・☆ iso)